俺は半ば開き直って、個室の扉を一つ一つ開き、シャッターを切っていく。

ガチャッ

いくみ「(今度はもっと自然に入るために、真菜ちゃんも誘って……ん?)」

真菜「ひゃ……お、お兄ちゃん……?」

いくみ「え? ま……真菜ちゃん?」

真菜「きゃあぁぁぁぁぁ!」

いくみ「わ、わわー!!」

カシャッ!

真菜「あ、あぁー! お兄ちゃん、カメラ!」

いくみ「え? ああ! ふ、不可抗力だよ! 不可抗力!!」

真菜「と、扉閉めて! 閉めてー!」

いくみ「あ、う、うん!」

バタン!

……って、何だ俺! 俺まで中に入って扉閉めてどうすんだ!

真菜「あ……うう、あ……」

ジャーーッ!

真菜ちゃんが泣きそうになりながら、何故だか慌てて水を流す。

いくみ「ご、ごめんっ! ほんとにごめんっ!!」

真菜「だ、だめえ! ここにいたらだめえ!」

いくみ「あ、う、うん、外に出てる出てる!」

ジャーーッ

何故だか、何度も続けて水を流す真菜ちゃんを見ないようにしながら、俺は慌てて外に飛び出した。

真菜「閉めてー! 手、届かないの!」

いくみ「う、うんっ」

バタン!

俺は慌てて、そのまま廊下まで飛び出す。

いくみ「(はー、びっくりした)」

ばっくんばっくんと心臓が鳴っている。
まさか、教室に帰ったと思っていた真菜ちゃんが、トイレにいたなんて……
お、恐るべし女子トイレ……女の子が入っているなんて、やっぱり俺には怖くて近寄りがたい。

いくみ「(トラウマになりそうだよ、とほほ……)」

しかし、真菜ちゃん……なんだかやたらと何度も水を流していたな。女の子って、みんなああなのかな?